外出していて遭遇する雨漏りしている場所としてまず挙がるのは、駅である。駅の大小を問わず、様々な箇所から雨水が雨漏りしているのをよく見かける。トタン屋根の簡素な構造の駅でこのような事態が発生するのは当然なのかもしれないが、新しくしっかりとした屋根に覆われた駅や地上から遠く離れた地下鉄の駅で起きるのはどうしてなのか。それには意外な理由がある。
まず都内の主な駅は全面改修が難しいことから、何十年も前に建てられた駅舎を部分的に改築しながら現在まで使用しているケースが多い。そのため内装は新しくても建物外側のコンクリート部分などが老朽化しており、その部分のひび割れから雨水が入って来るのだという。対策しようにも全部のコンクリートを壊して駅舎を作り直すには莫大な費用がかかるため、また駅を営業しながら大規模な工事を行うのは困難なため、中々根本的な対策は進まないのである。次に地下鉄の駅で発生する原因だが、地下鉄の駅は地上からは離れているものの地下水の水脈に近いことが多い。
このため地下水がわずかなひび割れから漏れ出て来るのである。地下鉄の駅では漏水対策として、主にステンレス製のカバーと排水溝を用意するなどしている。漏水箇所を完全に塞ぐ工事をしない理由は地下水脈を止めてしまうと地下鉄のトンネル自体が破壊される恐れがある他、建物の思わぬ箇所が侵食される恐れがあるためだ。このように駅の雨漏りには様々な原因があり、駅側もただ対策を怠っているわけではなく、根本的な対策は中々難しいのだとわかる。